恋心
「どうしたんですか?」


玄関を出ようとしてる私に、家政婦の安部さんが声をかける。


「徹ちゃんのお母さんが外にいるの。」


「えっこんな」


私は話途中で飛び出した。


すごい雨のせいで、前がよく見えないうえ、雨と雷の音のせいで声が聞こえない。


「徹ちゃーん。
徹ちゃーんどこ。
徹ちゃーん。」


何度叫んでも返事がない。


「恵理ー。
恵理ここだ。」


「徹ちゃん。」


行くと、徹ちゃんのお母さんはぐったりと道に座り込み、徹ちゃんが支えていた。


「母さん、しっかりしてくれ。
母さん。」


「お母さん、お母さん。」


呼びかけても、目のしょうてんが合わない。


「うちに運びましょう。
徹くん、おばさんと運ぶよ。」


いつの間にか、安部さんが隣にきていた。


安部さんと徹ちゃんが両側からお母さんを支える。



引きずりながら、なんとかうちの玄関に入った。


「体が冷たい。
恵理ちゃん、体を温めさせるから、リビングに暖房。あと、服を着替えさすよ。
徹くん、おばさんとリビングに運んで、それから家に戻って、お母さんの服と自分の服、二人分の着替え持ってくるのよ。」
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