恋心
「私、見たの。」


壁を見てた目が、徹ちゃんのお父さんをじっと見つめる。


「出張って言っていた、あなたを見たの。」


徹ちゃんのお父さんの顔色が変わる。


「あの人だれ?」


「あっ、違う、違うんだ。」

「あの人だれ?」


「違う、違うから。」


「あの人だれ?」


「あっあぁ。」


「ラブホテルから出てきたあの人だれ?」




家が震えたと思った。


時間がとまったと思った。


誰も動けなかった。



「くっくっふふふ………。」

徹ちゃんのお母さんが、静かに笑い出した。







「榊さん、とりあえず病院へ向かいましょう。
安部さんあと頼みます。
徹くん行くよ。
お母さん支えて歩ける?」


お母さんの声に、みんなの体が動いた。
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