恋心
「徹ちゃん行こう。」


声をかけても、徹ちゃんは動かない。


「もう俺、なにがなんだか。」


震えながら泣いていた。


「徹ちゃん、お母さん見つけよう。
この雨じゃ、風邪ひいちゃうよ。」


徹ちゃんの手を強く握りしめる。


「そうだな。
二人で見つけよう。」


徹ちゃんと私も走りだした。













しかし、お母さんは見つからなかった。


「お母さん、お母さん。」


ひたすら叫びながら、二人でお母さんを探し続ける。


だんだんと雨は弱くなっていった。




ー ピーポー ピーポー ー

遠くで聞こえていた救急車の音がだんだんと近く。


ー ピーポー ピ ー


近くの大通りでとまったようだ。


二人で顔を見合わせる。


「恵理。」


徹ちゃんが顔を歪ませる。

「行って見よう。」


「嫌だ。」


「徹ちゃん。」


「嫌だ。」


「私いるよ。
徹ちゃんの近くにいるから。
絶対に離れないから。
違う、きっと違うと思うけど、確認だけしよう。」


嫌がる徹ちゃんを、なんとか手を引いて歩かせる。
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