恋心
「立てる?
僕につかまって。」


私は支えられながら、なんとか救急車の近くまでフラフラしながら歩いた。


「あー、母さん、いやだ、母さん。」


暴れる徹ちゃんを、警察官が押さえている。


「徹ちゃん。」


「徹ちゃん。徹ちゃん。」


何度呼んでも、徹ちゃんには届かない。


私はふらつく足でなんとか近づき、徹ちゃんに抱き着く。


「徹ちゃん。」


「恵理。」


やっと徹ちゃんは私を見た。


「恵理、恵理、恵理。」


「徹ちゃん。」


私たちは、強く抱きしめあいながら、下にくずれ落ちた。






「恵理、徹くん。」


「お母さん。」


お母さんが走って来た。


「母さんが、母さんが。
おばさん、助けてくれ。」


「わかった。」




「誠心病院の藤堂です。」


お母さんは救急車に乗り込む。


救急車はまだでない。


どうして、どうしてすぐ動かないの。


早く病院へ


早く助けて。


早く、早く。
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