幸せという病気
「俺はあの人と会ってさ、なんか・・・生きるって事?・・・それを考えるようになったよ」

「えぇ?」


竜司がそう言うと、少し不思議そうに微笑んで祖母が聞き返した。


「なんで生きてるかなんて考えたこともなかったし、何もなけりゃ考える事もないじゃん。でもあの人を見てるといっつもぶつかってさ、傷つきながら・・・それでも優しくいようとしてる。ダサいとか、要領悪いとかさ、そうゆうとこもそりゃあるけど、それが人間なんだなって思わせる力がある気がするよ。俺もさ、そうゆう人間になりたいな」


祖母はそれに対し、ゆったりとした口調で答える。


「竜司君は、竜司君でいいんだよ?」

「え?」

「人というのは支えがないと生きていけないからねぇ。竜司君はね?武の支えなんだよ。言葉や態度じゃなくて竜司君がそこにいる存在があの子をあの子のままでいさせてる・・・すみれ先生や弘樹君、遥も香樹もそう。あんた達がいなければ武だって生きていけない。あの子はね、それがあるから、それがわかってるから無理したり傷ついたりしてぶつかっていけるんだよ?」

「・・・はい」

「だから頼んだよ?竜司君は竜司君のままでいてあげてね?」



竜司は祖母のその言葉と笑顔が、その日頭からいつまでも消えなかった・・・。



そして武は部屋に戻ると喪服を着替え、ベッドに倒れこんだ。

携帯を手に取り、すみれに発信すると、すみれはすぐに元気良く電話に出る。


「おかえりっ」

「ごめんな?今日は」

「大丈夫だった?神谷さん」

「まぁ・・・心配だけど・・・それより風邪ひくなよ?あったかくして、ちゃんと布団かぶって・・・」

「うん!ありがとぉ。そーだ、明日ね?仕事終わってから一緒にさぁ、買い物行かない?」

「・・・」

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