幸せという病気
「ヒールじゃ危ねぇだろ・・・」
「・・・まさか海に旅行行く時、彼氏から逃げるかもなんてさぁ、朝考える!?」
「・・・悪かった・・・」
「・・・何が?・・・」
「一人にさせて・・・」
「・・・いっつもじゃん」
「・・・もうしないから」
「わかんないよ、武の事だから」
「いつも一緒にいて・・・もし・・・病気になったら・・・」
「それより恐いのは、武がどっか行っちゃう事だよ?」
「・・・」
「そんな中途半端であの時、付き合う事決めたの?」
「いや・・・」
間を置く事なくすみれは、武に抱き付いた。
「私だって、これが幸せなんだよ?・・・」
「・・・」
「どこにも行っちゃやだょ・・・」
その時、武の携帯が鳴る。
「・・・鳴ってるよ?」
すみれが伺う。
「・・・いや・・・」
呼び出し中の電話を切り、武はすみれを強く抱き締めた。
寒い空の下、激しい波の音だけが聞こえる。
その波からは、二人のキスが、どこか悲しげに見えていた――。