幸せという病気
その頃、祖母と香樹は車で四人を待っていた。
「香樹はお兄ちゃんとお姉ちゃんがいてよかったねぇ」
「うん」
あやしながら、祖母が話す。
「小さい頃のお兄ちゃんは、イタズラばっかりしててね?よくお母さんに怒られてたんだよ?」
「ふ~ん」
「お姉ちゃんは、今みたいにしっかりしててねぇ、小さい頃から家事を手伝ってくれた」
「僕は?」
「香樹かい?香樹は誰よりも優しい子で、素直で元気いっぱいな子」
「ふ~ん・・・おばあちゃん。僕のお母さんはどうしていないの?」
「・・・香樹・・・」
「・・・僕・・・お母さんに会いたい」
香樹は今まで聞けなかった事を、申し訳なさそうに小さな声で訴えかける。
すると祖母は香樹を抱きかかえ、静かに頭を撫でた。
子供の純粋な心には、大人には見えない影がある。
そしてその影に光を照らしていきながら、誰もが大人になって行く。
その光が希望だというなら、まぶしいくらいの光を照らしてあげたい・・・。
そう思いながら祖母は、サイドガラスから曇った空を仰いだ・・・。
しばらくして、遥と竜司が車に戻って来た。
「寒い・・・無理・・・」
竜司が運転席に座り鼻をすすっていると、遥が武とすみれがいない事に気付く。
「なんだかんだで、ラブラブじゃんっ」
それを聞き、祖母は小さく呟いた。
「・・・そういえばどうなったんだろうね・・・」
「どうかした?」
遥が不思議そうに尋ねる。