幸せという病気
そして公園では、二人の男が一瞬のうちに五人を殴り倒す。
「あぁ・・・げほっ・・・なんなんだ・・・おめぇら・・・」
「何って見りゃわかんだろ。ヒーローだヒーロー」
上着を直しながら、スーツの男は、倒れている男達に淡々と言葉を投げる。
「・・・どう見たってヤクザだろ・・・」
「じゃぁ喧嘩売んなタコ。散れっ。ほら家帰って勉強しろ勉強」
「・・・覚えてろよくそったれ!!」
そう言い残し、男達は、ヨロヨロの足でその場から去って行った。
「・・・なんで覚えてなきゃいけねぇんだよ・・・漫画の見すぎだろ・・・」
右手を左手で押さえながら、スーツの男が詩織に近寄る。
「姉ちゃん、大丈夫か?」
「はい・・・」
「気ぃつけなよ?夜道は」
「・・・ありがとうございます・・・あの・・・」
「ん?」
「お名前は・・・」
「俺は別に・・・こいつはそのうちテレビ出っからよ」
そう言いながら、スーツの男は、茶髪の男を指差す。
「何言ってんだ。指さすなヤクザ」
「伊崎って名前覚えときな?あっ、今のうちにサインでも貰っとくか?やれよ武、サイン」
「バカかおまえ。もうやめたって言ってんだろ」
「その割におまえ、殴る時、手に気ぃ遣ってたじゃねぇか」
「・・・怪我すんの嫌ぇなだけだよ」
そうして、二人の男はその場から消えていった。