幸せという病気
家に着き、武たちはニュースを見ていた。





「・・・なんで地球中揺れてんだ・・・」





武は体が震えた。

祖母がそれに続ける。



「爆発するのかねぇ地球が・・・」

「そんな事ないよ・・・今調べてるんでしょ?そのうち偶然だってわかるよ」



動揺しながらも、遥は気を落ち着かせようとした。



「ていうか・・・これかもな、神の豪遊って・・・」






武は確信していた。



間違いなく今後さらに不可解な事が起こると・・・。





すでに人類は地獄の一丁目に足を踏み入れていた・・・。






――素直に、懸命に生きていく事が馬鹿馬鹿しく思えて、自分の押し付けな感情で人を傷つけ、自分の利益ばかりを求める。人間がいずれ、当たり前に幸せを感じ、気付く事が出来れば別だが・・・――




武は茂の言葉を思い出し、悟った。





『気付かないものは気付かせられる―――』





恐怖と不安で胸がいっぱいになっていた。

そんなはずは無いと、ただの偶然だと、気持ちを落ち着けよう落ち着けようと、すればするほど心臓がはちきれそうになる。


手には汗が滲み、肩が重くなった。


そして武は、どうしても茂に会いたくなり、警察署へと飛び出していった・・・。


一方、遥は一息つき香樹を寝かせると、少し熱っぽく感じ、頼るように祖母に話し掛ける。


「おばあちゃん、私風邪ひいたかも・・・」

「どれ・・・」


祖母は洗い物をしていた手を止め、遥の額に触れた。


「そうだねぇ、微熱があるね・・・もう横になりなさい」


遥は雨に長い間打たれたせいで、風邪をこじらせていた。

そのまま布団で横になり、慣れた手つきで祖母が看病をし始める。
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