幸せという病気
「この手紙・・・初めて書いた時から、何年もかけて書き足してるんじゃないかなぁ。もしかしたら最初に渡してくれなかったのは、今後、書き足す予定だったからかもしんない」


「えっ・・・書き足してる?」


「だってほら。平仮名だった私の名前が、途中から漢字に変わってる」


「あっ。ホントだ。しかも最後はボクだったのがオレになってるー。ってか何?この文末にある三年とか四年とか」


「きっと、この手紙を最初に書いた《またいっしょにあそぼうね》ってとこまでは、確かあの時、お兄ちゃんが小学校二年生なの」


「うんうん。じゃあ次の段落からは三年生の時・・・」


「そう。その後は学年があがる毎にだんだん漢字も覚えながら、少しづつ書いてて、最終的に小学校卒業までで終わってる」


「あぁ~中学入ったら思春期だし恥ずかしくなってやめたのかなぁ」


「ん~ん。自分で歌とか書く人だよ?そんなの多分恥ずかしくないよ」


「じゃあなんで急に書くのやめたの?」


「この手紙・・・夢の中に自分が出てきてって書いてるでしょ?きっと、今の二十三歳のお兄ちゃんの想いが、当時小学生だったお兄ちゃんの夢に定期的に現れた気がする」


「・・・幸せ病の現象かな?」


「うん・・・多分。それで、私に宛てて毎年手紙を更新させてた・・・」


「中学からは?」


「きっと、そのくらいの歳になると大人になってくから・・・幸せ病を伝って想いが届かなくなったのかもね。だからその頃から夢にも自分が出てこなくなったんじゃないかなぁ」


「・・・そういえば武さんが亡くなる時・・・香樹にそんなような話してたよね・・・?」








竜司と遥は、武の言葉を思い出す。

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