幸せという病気
「すみれさんも早くドレス着がえなきゃ」
「へ?」
「私達二人だけの結婚式じゃないよ?」
「・・・だけじゃないって・・・」
「すみれさんと、お兄ちゃんの結婚式も兼ねてるんだよ?一緒にするって約束したでしょ?」
それを聞くと、すみれは少し黙り下を向いて首を横に振った。
「・・・でも・・・・武はもう・・・」
「・・・大丈夫。私からのプレゼントがあるんだぁ」
「プレゼント?」
「うんっ」
やがて小さな結婚式が始まり、式は華やかに盛り上がった。
そして式も終盤を迎えると、遥が参加してくれた人達に向け、スピーチをし始める。
「皆さん今日は・・・ホントにありがとうございます・・・・・・・実は聞いてもらいたい事があります・・・・」
「遥ぁ~なぁにぃ?」
会場からそう聞かれると遥は一瞬黙り、その後、毅然と前を向いて語り出した。
「・・・私には・・・たった一人、兄がいました」
その言葉で、ざわついていた会場が静かになる。
「・・・だけど・・・兄は死んでしまって、もうこの世にはいません・・・幸せ病に・・・命を奪われてしまいました・・・」
そして沈黙になると、会場から鼻をすする音だけが聞こえ始めた。