幸せという病気
「・・・武・・・」
「お兄ちゃんの声だぁぁ!!」
すみれが突然流れ出した武の声に驚くと、香樹は喜びながら席を立ち上がる。
《・・・ホントは、インスピレーションで今、バーン!!って新曲書いて、またオーディション持ってくつもりだったんだけど・・・・・やっぱ今の俺には書けそうもねぇや・・・》
するとCDについて、遥が説明をし始めた。
「これは生前にお兄ちゃんが、歌を録音しようとしたけど良い感じの曲が浮かばず断念した後に、一人で何か喋ってるだけのCDです」
遥がそう言うと、スピーカーからすみれの名前があがる。
《・・・今の俺の夢は・・・すみれと同じ夢なんだろーなぁ・・・・》
そしてその言葉を聞くと、すみれは湧き出す感情で胸が熱くなり、遥はそんなすみれに捧げるようにゆっくりと続ける。
「私と竜司も最初、なんだこれって思ってたけど・・・聞いてみたらすっごく愛がこもってたの・・・」
遥の言葉の後・・・静かな会場を武の声が優しく包み込んだ。
《なんてゆーか・・・こんな時でも希望がどんどん湧いてくんだ・・・なんでかなぁ・・・すみれを想うと・・・希望で嬉しくなるんだ・・・》
代弁し、後押しするかのように、遥が武の言葉の合間に説明を加える。
「これはね?ちょうどすみれさんと別れてしまった時、録音されたものなんです」