幸せという病気
《・・・幸せ病は・・・俺の命で追い払ってやるから・・・絶対・・二人を守るって言ったろ?》
《・・・うんっ!!》
《・・・その代わり・・・》
《・・・うん》
《ここにいる全員で・・・・・・産まれてくる命の幸せを・・・想ってやってくれ・・・》
「きっと、みんなで願ってあげないと・・・」
「・・・」
「・・・新しい命は産まれて来ないんじゃ・・・」
その予感が頭を駆け巡った時、異様な寒気が二人を襲い、そしてこの瞬間を狙ったかのように・・・予想通り母体が危険な状態に陥った――。
二人がその事実を知ったのは、ほんの五分後だった。
「ハァ、ハァ・・・」
「竜司・・・先生は?何だって?」
不安に思った竜司が、すみれの容態を医師に伺い、遥のもとへと急いで戻って来る。
「俺らの思った通り・・・すみれさん・・・この出産に耐えられないかも知れないって・・・」
「え・・・」
「とにかく今は、その原因が幸せ病なのか何なのかはわかんねぇけど・・・すみれさん、自分の命と新しい命と、今、二つの命を背負ってる・・・きっと人が人を産むっていうのは、今までよりも相当強い精神力とかパワーがいると思うんだ」
「・・・」
「・・・それにこの寒気と鈍い感覚は・・・あの時の幸せ病と同じだ・・・だから、もしかしたらこれは幸せ病が仕掛けた最後の爆弾かも知れない・・・きっと武さんはこうなる事を知ってたんだ・・・子供が簡単には産まれて来ない事・・・だからみんなで願ってやってくれって・・・」
「やっぱり・・・そうしないと、赤ちゃん・・・死んじゃうって事!?」
「・・・最悪の場合・・・」
「・・・」
竜司はそう言い、言葉を探す。
「・・・最悪の場合?」
そして、遥の問いかけに竜司は言葉を返せない。