幸せという病気
「私達の願いだけじゃ・・・すみれさんと赤ちゃん・・・救えない・・・」
「・・・弱気になるな・・・」
竜司が元気付けると、そこに、目を覚ました香樹が別の処置室から出てきた。
「お姉ちゃん・・・すみれ先生は?」
香樹がすみれの居場所を伺う。
「起きた?香樹・・・・・すみれ先生は今、この部屋の中で頑張ってるよ・・・?」
遥にそう言われると、香樹は重たい体ですみれの病室のドアの前に立つ。
「・・・香樹?どうした?」
そして突然、中にいるすみれに向かって思い切り名前を叫んだ。
「すみれ先生!!!!」
突然の事にそこにいた全員が驚き、そして香樹はドアを叩きながら叫び続ける。
「すみれ先生頑張って!!!」
その言葉を聞くと、遥の脳裏に武が現れた。
そして、いつかの武の言葉を思い出す。
《どうして俺達はそうやって命に感動するか知ってるか?》
《・・・何なの?》
《泣いたり笑ったり・・・俺達も毎日頑張って生きてるからだよ・・・不器用でも俺達もしっかり命を持ってる・・・だから嬉しくて涙が出るんだ・・・そうやって誰かの命に触れながら、知らないうちに自分達が生きてる事を喜んでるんだよ?》
香樹が・・・小さな体で、声を枯らしながらドアの向こう・・・苦しむすみれへと訴え続ける。
「すみれ先生!!!頑張って、赤ちゃん産んでね!!・・・お兄ちゃんも、頑張れって言ってたよ!?」