幸せという病気
「なぁ詩織、この曲知ってる?」
「んん?」
「これだよ。すげぇいい曲じゃない?」
「あぁ~聴いた事ある~」
二人は笑顔で会話をしながら、曲を試聴する。
「この歌、作った人、もうこの世にいないんだぜ?」
「え?」
「幸せ病で亡くなったんだって」
「・・・」
「好きな人と、その人の子供を守って・・・亡くなったらしいよ?」
「・・・なんて人なの?」
「伊崎武って人」
「そうなんだぁ・・・・え・・・伊崎・・・?」
「・・・知ってんの?詩織」
「・・・伊崎って・・・」
《姉ちゃん、大丈夫か?》
《はい・・・》
《気ぃつけなよ?夜道は》
《・・・ありがとうございます・・・あの・・・》
《ん?》
《お名前は・・・》
《俺は別に・・・こいつはそのうちテレビ出っからよ》
《何言ってんだ。指さすなヤクザ》
《伊崎って名前覚えときな?あっ、今のうちにサインでも貰っとくか?やれよ武、サイン》
《バカかおまえ。もうやめたって言ってんだろ》
《その割におまえ、殴る時、手に気ぃ遣ってたじゃねぇか》
《・・・怪我すんの嫌ぇなだけだよ》
「おい、詩織?どーした?」
「・・ん~ん。いい曲だなぁって・・・思って」
「だろ?」
「買ってこっかっ」
「珍しいね、CD買うなんて」
「うん。たまにはねっ」
「よしっ。イルミネーション見に行くんだろ?」
「うんっ!!」
「じゃあ、これ聴いて行こぉ」
やがて二人は夜の街に消えて行った。