幸せという病気
一方、海外へ留学中の茜に、母親から一本の電話が入る。
「もしもし茜ぇ?遥ちゃんから手紙来たよ?」
「え?ホント!?」
「今度、小学校の時の同窓会があるみたい」
「マジ!?何年ぶりだろぉ!!久しぶりだなぁ~」
同窓会の話を聞くと、茜は遥の顔を思い浮かべた。
そして母親が続ける。
「なんだか、茜と遥ちゃんって、空と海みたい・・・」
「え?」
「茜色の空に、遥かな海。交じり合うとすごく綺麗でしょ?」
「うん」
「ホントに二人は、いい友達だね」
「ありがとぉ、お母さん」
「茜。まだ日本には戻らないの?」
「うんっ。まだ私、夢の途中なの。ごめんね?お母さん、一人で淋しい想いさせて・・・」
「ん~ん・・・茜は何にも気にしなくていい。それより、体に気をつけてね?」
「はぁいっ。ねぇねぇお母さん」
「ん?」
「遥ちゃんって確か、お兄さんいたよね?」
「ん~・・・確かいたような気が・・・」
「最近こっちで、幸せ病に苦しむ人達と出逢ったんだけどね?仲良くなった友達が毎日、毎日、伊崎武って人の歌を聴いてるの」
「伊崎武?」
「うん。もしかしたら遥ちゃんのお兄さんじゃなかったかなぁって思って」
「じゃあ、調べてみる。伊崎たける?」
「武・・・」
「あっ。武ね」
「うん、宜しく」
「じゃあ帰ってくる時に連絡頂戴?」
「うんっ。わかったよっ」
そう言い、二人が電話を切る頃、ライオードミュージック本社では・・・。