幸せという病気
「失礼します。澤木さん・・・お呼びですか?」
「おぉ、優。ボイトレちゃんとやってんのか?」
「はいっ」
武にデビューの話を持ちかけたライオードのマネージャーである澤木が、遥の同級生である優を会議室に呼んでいた。
「聞いた話だと、おまえの友達の兄ちゃんらしいな、伊崎武・・・」
「あっ、はい・・・」
「ライオードにこのCD持って来たのは、武君の妹さんと旦那さんでな・・・実は、彼のパソコンに未発表曲が入ってたらしいんだよ。その曲のコーラス、今度おまえ一回やってみるか?」
「えっ・・・私がですか?」
「嫌ならいいよ?」
「いえ・・・やりますっ!!」
「しかし優・・・あれから頑張ってよく更生したな」
「・・・そんな・・・澤木さんのおかげです・・・」
「バカ。俺はただ、原石を拾っただけだ。おまえの立ち直ろうとする意志が強かったんだよ?俺は、伊崎武の曲にも強さを感じたからこそ、彼の曲を世に送った・・・今度はおまえの詩と、その歌声だ」
「・・・はいっ。頑張ります」
そして、あゆみの家では・・・。
あゆみの両親が台所で会話していた。