幸せという病気
「お父さんっ、ご飯ご飯」
「お~今日は豪勢だな」
「今日は家族水入らずですから」
「そうか。あゆみは?」
「部屋にいるから呼んでくるね」
「おい。プレゼントの事はまだ内緒だぞ?」
「わかってる、わかってる」
「あぁ、それからこの間の話だけどな・・・」
「お父さんっ!喧嘩になるから今日はその話は無し」
「・・・」
「これからは、あゆみの為に仲良くするって、そう決めたでしょ?」
「・・・そうだな」
「じゃあ呼んでくるから。プレゼントの絵本・・・ちゃんと隠しておいてよ?」
「おっ、おう」
「あゆみぃーっ?ご飯だよぉー?」
「はぁ~いっ!!」
その頃、遥と竜司、そして祖母と香樹の四人は一緒に食卓を囲んでいた。
「ねぇ、すみれさんまだ退院出来ないの?」
「もうちょっとじゃないかなぁ」
竜司が遥にそう伺うと、遥はケーキを切りながら答える。
「お姉ちゃん!!僕のケーキ大きく切ってね!?」
「はいはい」
そして香樹にそう頼まれると、遥は返事をしながらケーキを四等分した。
「お姉ちゃん!!結局、僕のケーキ全然大きくないよぉ!!」
「もぉーっ。香樹ぃ。最近ワガママになったねぇ、まったくぅ」
すると、祖母が自分のケーキを少し香樹に分け与える。
「ほら香樹。おばあちゃんこんなに食べれないからあげる」
「ホントぉ!?やったぁ!!」
香樹が祖母のケーキを半分貰うと遥は、
「あっ。香樹ー?みんなが食べられない分は仏壇へ・・・」
と、祖母に貰った分を武の仏壇に供えた。
少しふくれたが、香樹は仕方無く納得し、やがてケーキにロウソクが立てられる。
「よしっ。電気消して・・・香樹?勢いよく吹けよ?」
「うんっ」
ロウソクに火が付けられ、竜司が電気を切ると部屋に柔らかな光が揺れた。
「よしっ。吹いていいよ?」
遥の合図で、香樹が勢いよくロウソクに息を吹きかけると・・・一吹きで火は消え去り、部屋は真っ暗になる。
「メリークリスマースッ!!」