龍の女神となるべき姫【上】
男の子は、しばらくぼんやりとしたあと、
「あっ!!」
と言って、立ち上がった。
「ん?留衣、知り合いか?」
「さっき会ったんだ。
ねぇ、僕の後ろの席にその子来る?」
「あぁ。
ちょうど席が空いてっし、そこにするか」
というわけで、私の席は窓側の1番後ろになった。
「ねぇ」と、あの男の子が声を掛けてくれる。
「僕は富山留衣[トヤマ ルイ]っていうんだ。
えっと、名前教えてくれないかな?
さっきまで寝ちゃってて」
『成瀬亜美だよ。
あ、さっきは本当にありがとね』