女番長
そこまで聞いて、やっと分かった。
「今は、まだ考えてないんです。」
確かに、お父さんお母さんの財産だけじゃやっていけへんってことは、考えてた。
でも、まだあたしは中学生で、里菜は小学生やし…。
さすがに中学生のあたしがバイトすることもできひんくて…。
「なぁ、真希ちゃん。」
「はい。」
「バイトしてみいひん?」
「へ?」
意味が分からんかった。
だって、あたしまだ中学生やで?
「あの…、あたしまだ中学生…ですよ?」
「うん、知ってる。」
「中学生でもできるバイトって、あるんですか?」
あたしが言ったら、刑事さんがまた電話の向こうで笑った。
「普通はね、ないよ。」
普通は?
って、どういうこと?
あたしの頭の中がよけいに混乱する。
「警察の…裏の仕事。」
「裏…?」
あたしは思わず聞き返していた。