妖魔04~聖域~
「これは」

家族の写真。

母親である葉桜郁乃に、隣で母親の腕の裾を掴んでいる幼少の葉桜千鶴。

もう一人いるのが、葉桜丞だろう。

父親は写っていないようだ。

すでに居なかったと踏んでいい。

思ったとおり、あの男は葉桜千鶴の兄だった。

それはいい。

本来あるべきはずの部屋が裏世界に存在しているのは何故か。

記録はあるが記憶がないのは何故か。

これだけの記録があるのだとすれば、他の場所に残っていてもおかしくはないのにな。

何かしらの能力が作動したと考えるのが正しいだろう。

証拠を隠滅するような、裏世界に飛ぶほどの能力。

能力は不完全な形で作動した。

だからこそ、記憶だけが消え、記録だけが残った。

千鶴の手元に写真が残った。

葉桜丞は何かを知っている風だった。

ならば、自然と葉桜丞が何かをしたという形に持っていけばいい。

俺は襖を閉めた。

鍵を握るのは葉桜丞。

「ん」

俺はもう一度コルクボードを見る。

着物を着ている幼少の娘。

この女、昔話で聞いた妖魔の身なりと同じだ。
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