たった一人の… 【短編】
しばらく走ると海が見えた。
私達は車を降りて 砂浜へ向かった。
羅『寒〜い。』
琉『本当寒い〜。』
3月の海はさすがにまだ寒かった。
琉『俺、ここの海が一番好きなんだ。だから、羅依に見せたくて…。』
羅『ありがとう。スゴイ綺麗…。』
私は琉聖君の気持ちがとっても嬉しかった。
羅『琉聖君!私、本当に琉聖君が大好き。だからずっとずっと私と一緒にいてくれる?』
琉『もちろん。てか、俺の台詞取りすぎ。』
……。
琉『羅依?これから先、喧嘩したりするかもしれない。辛い事もあると思う。でも、絶対に二人で乗り越えていこうな。』
羅『うん…。』
私の頬を涙が伝った。
琉『もう、泣くなって。昨日から泣きすぎ。』
確かに私は昨日から泣きっぱなしだ。
でもね、それくらいあなたの言葉が…あなたの優しさが嬉しくて、幸せでどうしようもできないの。
琉『寒いし行こっか。』
私達は初めて手を繋いだ。
私は、あなたの手の温もりが、今でも忘れられないんだよ…。
だってあなたは、私にとってたった一人の愛した人だから……。