◇◆あじさい◆◇
『…風花…。』



振り向いた父が、優しく私を中へ呼んだ。




『風花ぁ〜。
昨日はぁ、びっくりさせて、…ごめんねぇ。』


思いもしない母の言葉に、一気に涙が流れ出した。



『来てくれて、
ありがとう…。』


母はゆっくり頭を下げて笑顔で私を見つめていた。




『風花、父さん…、
今ちょうど、着替えを取りに一旦家に戻ろうと思ってたんだぁ。少し、母さんの側に居てやってくれないかぁ?』



父はきっと、気を使ったのだろう…。



私が母の側に座ると、父は部屋をあとにした。
< 88 / 223 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop