それでもおまえらは、俺を合コンに誘うのか?

 稲葉が和俊のフォームを酷評した。

 酷評された上体投げから和俊が胸を回し終え、いよいよ肩を回し始める。そして間も無く放たれたボールに、グランドにいた者全てが動きを止めた。

 ドパン! と小気味よい音を立て、快速球が氏政のミットに収まる。

 半数近い者が、呼吸さえ止まってしまっているかのように微動だにしない。

「なんであんな上体投げから……、こんなストレートが来るんだ……」

 それっきり稲葉は、言葉を失う。

「誰か……、誰か誰かっ! スピードガンスピードガン!」

 茫然自失となっている稲葉に代わり、受けている氏政が指示を出す。



 それほど今のストレートは、高校生の物ではなかったのだ。



 ここで氏政が声をかけにマウンドへと向かう。どうやらスピードガンが来るまでの時間を潰そうという腹積もりらしい。

「君いい球投げるんだな……。何キロぐらい出るんだよ?」

「154っちゅうのが何回かあったかのう」

< 24 / 50 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop