それでもおまえらは、俺を合コンに誘うのか?
稲葉が和俊のフォームを酷評した。
酷評された上体投げから和俊が胸を回し終え、いよいよ肩を回し始める。そして間も無く放たれたボールに、グランドにいた者全てが動きを止めた。
ドパン! と小気味よい音を立て、快速球が氏政のミットに収まる。
半数近い者が、呼吸さえ止まってしまっているかのように微動だにしない。
「なんであんな上体投げから……、こんなストレートが来るんだ……」
それっきり稲葉は、言葉を失う。
「誰か……、誰か誰かっ! スピードガンスピードガン!」
茫然自失となっている稲葉に代わり、受けている氏政が指示を出す。
それほど今のストレートは、高校生の物ではなかったのだ。
ここで氏政が声をかけにマウンドへと向かう。どうやらスピードガンが来るまでの時間を潰そうという腹積もりらしい。
「君いい球投げるんだな……。何キロぐらい出るんだよ?」
「154っちゅうのが何回かあったかのう」