それでもおまえらは、俺を合コンに誘うのか?
 和俊の左足が勢い良く回る。

 その回転が、腰へ、胸へ、肩へ、腕へと上へ上へ自然な流れで伝わっていく。

 そしてそれが、運動エネルギーへと変化してボールに乗るのだ。

 ここ数年で、
「スピードを追究してたら、トルネードになってた」
 と語るプロや著名な素人ピッチャーが急激に出てき始めたのは、後ろ脚に負担をかけずに、スムーズに運動エネルギーを生み出すことができる、最も簡単な方法だからなのである。

 肩を回した和俊が、ボールを手放した。

 ボールが風を切る音が、稲葉にまで聞こえてくる。



 座学前の和俊のボールには、明らかに無かった現象だ。



 氏政が気合いを入れて構え直す。



 ボン! という音でミットに収まった。

 迫力は無くなったが、力が増している重たい音だ。



「剣持、もう一球投げてくれるかい!」








 リクエストを受け、再度投げた和俊のボールに、稲葉がスピードガンを向ける。

「157キロか……。スピード自体は変わってないんだな……。にしても……」

 氏政とスピード表示を交互に見つめ、暫く首を傾ける。








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