狙われし王女と秘密の騎士


それから二日後。

私達はサルエルに追われることなく、なんとか無事にナリエルの城下街に着いた。
ナリエル国領自体には昨日から入っていたが、城下街には一日かかる。
城下町に着いたとたん、追われる不安が全くなくなった安心と国を救える希望が確実に見えたことに大きく安堵して足から崩れそうになったのは秘密だ。

ナリエル国の城下町は私が知るかぎり、エルシールやその隣国のどの国よりも大きく広く、活気に満ちており、人々が生き生きしていた。
人々が町を行き交い、お祭りのように思える。


「すっげぇ」


お頭は初めて見るその様子にポハァと口を開けて周りを見渡している。
私も口は空けなかったが、高鳴る胸を押さえたくらい確かに凄い。
西の国とあって、カイルのように茶系の髪色や白い肌の者が多い。建物も立派なものも多く、しっかりした造だ。道も綺麗に舗装されている。
また、国の雰囲気が違うというのも大きいが、街の様子だけで、国王がどれだけの力量で大きい人物かわかる。
まさに発展国と言える大国だ。


「とりあえず、着いてきて」


いかにもおのぼりさんな私とお頭にカイルは手招きをする。言われるがまま私達は後を着いて行った。

街の中を少し歩き、城に近いところでカイルはお洒落で高級そうな宿へ入って行った。
あまりにも今の格好に場違いな所で、足を止めてしまう。


「おいおい。ここは泊まれそうにねぇぞぉ?」


確かにお頭のいう通り、今までの私達からすれば素通りしてしまう店だ。
仮にも一国の王女の立場である私が見ても、その店は上流階級の人間が使うであろうと思われる宿だ。
宿代の相場も何となくわかる。王女としてならともかく、今の状態で私達には泊まれない場所だ。



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