狙われし王女と秘密の騎士


エルシール兵士が動き出したおかげもあり、なんなく地下牢へ辿り着くことが出来た。
地下牢を守るサルエル兵士を側近らが倒し、重い入り口の門を鍵で開ける。


「お父様っ!」
「……シュカ……シュカなのか!?」



左右に並ぶ多くの牢に向かって私は大声で父王を呼んだ。
すると驚いたような父王の声が聞こえる。
声の方へ走って行く。


「お父様っ!!」


そこには牢に入れられたエルシール国王がいたのだった。
数ヶ月より少し痩せ、ボロボロの服を纏っていたが、その姿は確かにエルシール国王。

父王だった。


「お前、生きていたのだな!?」
「えぇ! お父様っ!」


牢の鍵を開け、出てきた父王にしがみついた。
無事な姿に涙が溢れる。
所々、張れや傷は目立つが命に関わるような大きな怪我はなさそうだった。

良かった。
本当に良かった。


「シュカ、生きていたか。良かった」
「ナリエル国が援護して下さったの」
「ナリエル国が!?」


お父様は驚いた表情を見せ、そこで初めて顔をカイルに向けた。


「そなたは?」


カイルは簡単に礼を取り、挨拶をした。


「ナリエル国第二王子カイルと申します。陛下、ご挨拶したいところではございますが、今は脱出が先です」


カイルに頷いた父王は私の手を取った。



< 156 / 201 >

この作品をシェア

pagetop