狙われし王女と秘密の騎士


ルカに駆け寄るがそのルカに触れる前に、当然のことながらサルエル国王に腕を掴まれ引き寄せられた。


「シュカ!」
「掴まえた。麗しい私の姫君……」


恍惚としたその声に、恐怖と不気味さで背筋がゾクッとする。
その手には剣が握られており、下手に身動きが取れない。


「逢いたかったよ美しい私のシュカ姫。こんな女を身代わりにして、私を騙せたとでも?」
「私は貴方を許さない。エルシールをこんな風にした貴方を決して許さないわ」
「何を言う。そなたが素直に私の物になっていれば、こんなことにはならなかった。そうは思わないかい?」


私が分かっていることをあえて口に出し責めてくる。
それを言われると何も言えなくなってしまう。


「君があの時私の物になっていたらこんなことにはならなかっただろうなぁ。この女も国王も、死んだ多くの兵士も。なぁ、シュカ姫」
「……卑怯者」
「なんとでも言えばいい。そなたが手に入れば、もう私には怖いものなんてないのだから」



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