狙われし王女と秘密の騎士
部屋に入り、人払いをする。
自然とため息が出てきた。
父王の言いたいことは十分わかっている。
今回のことがあって、自分がいつまでも国王として居られるかどうか。
もしもを考えた時、一人しかいない後継者の私が結婚していたら色々安心するということも。
こういうとき、兄弟がいないのは不便だ。
父王と私に何かあったらこの国は衰退する。
父王はそれを恐れているのだろう。
母一筋で母亡き後も側室はとらなかった。
そこを尊敬し、素晴らしいと思ったが一国の王としては致命的でもある。
でも、だからこそ、早く私が結婚し世継ぎを産まなくてはならないのだ。
私だってわかっている。
わかっているのだ。
国の為に結婚をしなければならないことくらい。
でも。
でも。
そんな時に、どうしても思い出してしまう人がいる。
その人が浮かんで、気になってしまって、気持ちが縁談に向かない。
他の男性を見れない。
わかってるのだ。
それじゃぁダメなことくらい。
一国の王女として、いけないとよくわかっている。
でも、踏み切れないでいるのは事実。
頭でわかっていても、心が嫌だと叫ぶのだ。
「どうしよう」
再び重いため息をつく。
こんなときに、いつも行きたくなる場所があった。
今はルカも誰もいない。部屋から出てもお付きが付くことはないだろう。部屋をこっそり出て一人になれるそこへ向かった。