狙われし王女と秘密の騎士
「……何で泣いてるんだよ?」
カイルが苦笑気味に私のオデコを突っつく。
私は両目から大粒の涙を流していた。
「泣いてんなよ」
「違っ、わかんないけど勝手に、出てくる……」
しゃくりあげる私の頬にそっとカイルの大きい手が触れた。
ビクッと驚き、顔を上げる。
触れられた頬が熱くなる。
大きい手のひら。
カイルが優しく私を覗き込んでいて、その瞳を見た瞬間、私の感情がついに爆発した。
「結婚しないで」
「シュリ?」
「結婚しないでよっ、カイル!」
言いながらも涙が止まらない。