狙われし王女と秘密の騎士
でも、一度切れた堰は止まらない。
ひたすら泣いている私を突然カイルは黙って引き寄せた。
抱き締められていると感じた瞬間、反射的にその胸にぎゅっとしがみつく。
「お願い。結婚しないでっ」
私は何度もその腕の中で呟いた。
その言葉しか出て来なかった。
懇願に近かった。
でも、その思いしかなかったのだ。
「カイル」
カイルはしゃくりあげる私の頭を優しく撫でる。
なだめるように何度も優しく落ち着かせてくれた。
しばらく撫でた後、カイルが一言言った。
「なら、シュリ。今回の縁談、受けろよ」