狙われし王女と秘密の騎士


………。



「………は?」


意味が解らず、顔を上げる。
たぶん涙も引っ込んだと思う。
それくらい、ポカンとした。
しかし、カイルは苦笑しながらもう一度言った。


「だから。今回の縁談、受けろって」
「何で?」


まさか!
お前も誰かと結婚すればいいだろってこと!?
そんなの嫌!


「嫌だよっ! だって、私、カイル……」


困惑する私にカイルは苦笑して言った。


「俺だよ」


え?


「え? 何が?」
「俺なんだ」


意味が解らず、私はただカイルを見つめる。
カイルがなんだって言うのだろうか。
首をかしげるとカイルは優しく微笑む。




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