狙われし王女と秘密の騎士
「今回の君の縁談相手は俺なんですよ。シュカ姫様」
………え?
ええ!?
「うそっ!?」
驚いて声が高くなる。
だって!
どういうこと!?
カイルが縁談相手だなんて!?
そんなの聞いていない。
それにカイルはさっき縁談を”受ける“といわなかったか。
縁談を“申し込む”ではなく、”受ける“と。
それはつまり、他からカイルに話が行っているということだ。
「だってカイル、さっき縁談受けるって」
「お前が今回の縁談を受けないって言うから。今回の縁談がなくなったら俺は振られたことになる。そうなったら次の来ている縁談を受けなければならない」
「そんな……」
「嫌なんだろ? 俺が縁談を受けるのは」
小さくコクンと私が頷くと、カイルは私の目を覗き込んだ。
穏やかな温かい瞳。
「なら、俺との縁談を受けていただけますか?シュカ王女」
優しいカイルのその声に再び私は涙を流した。
カイルは優しく私を抱き寄せる。
優しく、しかしぎゅっと。
「泣くなって。ていうか、縁談相手くらい確認しろよ」
「だって! まさかカイルだなんて思わないでしょうっ!」
ぎゅっとカイルにしがみつく。
すっぽりとその腕の中に入ってしまう大きな胸。