狙われし王女と秘密の騎士
「側に居たい女性が居ると。その人のためなら、身分を捨ててもいい。国も捨てられる。だからその人と縁談をしたいと」
側に居たい女性?
それって。
言葉にならずただカイルを見上げると、少し恥ずかしそうに笑った。
「シュリ。お前のことだ」
「!」
「俺の父上への生まれて初めての我が儘だった。でも、お前との縁談が破談になれば、俺は別の縁談を受け、政略結婚しなければならない」
「それは駄目っ!」
カイルをギュッと掴む。
他の女性と結婚してほしくない。
誰にも渡したくなかった。
「なら俺と結婚してくれるか?」
カイルの低く、緊張した声。
真剣に言われ、心臓が激しく脈を打つ。
でも、私の答えは一つしかなかった。