狙われし王女と秘密の騎士
「私で……いいの?」
「シュリじゃなきゃ、駄目なんだ」
そう告げられ、胸が熱くなる。
じわじわと満たされていく想い。
「私、カイルが縁談相手って知ってたらお父様にあんなこと言わなかった」
「うん」
頬に流れる涙をカイルが指先で優しく拭う。
触れられた箇所が熱を帯びるように熱くなった。
もっと触れてほしい。そう思うのはカイルだからだ。
「返事は?」
カイルが囁くように小さく呟いた。
胸がいっぱいで声が上手く出て来ない。
それでも私の気持ちを知ってほしくて。
声を絞り出す。
「宜しくお願いします」
と、言い終わるのと同時にカイルは私をギュッと強く抱きしめた。