正義
何をやってもダメだった。続かないし、好きになれない。
そうやってこの歳まで過ごしてきた。
明日で20歳になる。
親がウルサいから、大学にも通っている。
ただ通っているだけで理由はない。毎日が退屈だった。
刺激を求めながらも冒険できない自分がいた。


今日で10代も終わりだった。明日からは20代になる。
なんとなく今日は、家に帰りたくなかった。

そこで夜も眠らない街に行く事にした。
もしかしたらナンパが成功して、一夜明かせる場所があるかもしれない。

そんな期待で街に向かった。


街は、夜の7時を過ぎたあたりだが賑わっていた。

街についたので、早速ナンパしようと思ったが気がのらなかったから、一人で繁華街を歩いた。
何度かキャバクラに勧誘されたが無視して歩いていた。

しばらく歩くと歩き疲れたので、ガードレールに座り一人考えた。

今まで、一人で何か考えた事もなかった。
今日で10代も終わる、それなのに胸をはって自慢できる事が何もない、好きな事もない。

このままでいいのか…と考え込んでいる時に、黒いスーツを着た男が若い女の手をひねりあげているのがみえた。

男はプロレスラー並みにデカい。
女の方は腕も細く、今にも折れそうだ。


ここでカッコ良く女を助ければ、明日から胸を張って生きられるかな。
そう思うと、体が動いていた。

ガタイのいい男の前まで行き言った。

「女に暴力は止めろよ、みっともない」

決まった!と思った。男は女から手を離した。
途端に女は逃げていった。

その時、しまった…と思った。この場に残されたのはガタイのいい男と俺だ。
殴られるかもしれない、痛いのは嫌だった。
でも、明日から友達に女を助けたって自慢できるかもしれない。
なら証拠に一発ぐらい殴られてもいいかなと思ったが、気づくと殴られていた。

痛い、痛いけどこのまま気絶したフリをしよう。
早くいなくなってくれ。

そんな事を考えながら倒れていると、更に何度も蹴られ続けた。


次第に意識も遠くなっていった。
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