迷姫−戦国時代
「だが記憶を消されるにも種類があっての。狛津や上役等は最後にあるあの”歌事態”の存在は辛うじて残されてはいるが国の民やあの二人は数分の間は覚えてようが最後には完全に忘れさられるようになっておるのじゃ。
だがの例外があるのじゃ、それは・・・神の加護を受ける者つまりは儂と娘さん等じゃ」
美羽はそこで初めて男から目を反らし、か細く呟いたのであった
「神の加護とは・・・一国の当主である事。
ならば貴方様はとうに気づいておりますでしょうに何故ですか?」
男は美羽の言葉に「ほぅ・・・」 と感心した様子であった
(この姫君、何処か他とは異なる雰囲気を放っておるだけでなく、誠に聡明であるの)
「あれは歌詞が少ししかなく、もはや歌とは言えぬ不完全なものであると以前までそう先代に教えられてきた。だがそうではなかった・・・」
鈍色の瞳が鋭く美羽を見れば彼女の薄紅の瞳と交差した。双方が次に発する言葉を予想しているだろうが男は敢えてそれを口にしたのだ
今日は満月
宴の日に相応しい美しさを放っている
「あれは一つの歌であった。
恐らく歌は他にもあるとみた。お主も聞こえたであろう、自国の神の声をの」
そう・・・この方の言われる通り、美羽はあの時紛れもなく自国の神である皇朱の声を聞いたのであった
「ええ。貴方様はあの歌をお知りですか?」
男は暫し黙り込んだ。その表情は苦虫を噛みしめた時の様だった
「これは国家秘密でもある。お主の事はあの方から信用してよいと伺ったのだがやはりお主に直接伺いたい。
姫君は何処の当主なのじゃ?」