迷姫−戦国時代

二人は暫し黙り込んでいた。とは言っても男は美羽の返答を待っているだけなのだが




(貴方様の粘り勝ちね・・・)


美羽は手を前に添え身を屈めると



「申し遅れました。私は千紫の当主、桜美 美羽でございます」


顔を上げれば、男はその言葉に動揺を隠せずにいた



「まさか・・・生き残りがいたとはの」


吐き捨てる様に言うと何とか心を落ち着かせた次にこう述べた



「千紫の話については儂の耳にも入っておる・・・。国を放置して桜美殿は何をしておるのじゃ?」



「私は国を奪われた者です。ですがそう易々と相手の好き勝手にさせるつもりは更々ありません。私は・・・時期を待っておるのです」


「時期、とは?」




「戦です」



男は予期せぬ発言に身体が硬直した。ほんの十五・六歳に見える娘がこの様な言葉を発するからであった



「その為には戦力と情報が不可欠でございます」

「つまり、儂と手を組もうという考えなのか?」



「はい」と答えた美羽に男は眉を潜めた。此度の狛津の件ではこの姫君に大いに貸りがある。貸りを返したいのは山々だが、負荷が大き過ぎる


今度は黙り込む側が男となり美羽は返答を待っていた。だが次の瞬間思いがけない客が現れたのであった





『姫君に協力しろ』

「「!」」

命令系で現れたのは


我国の神である 六凪 であった





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