迷姫−戦国時代
一瞬、何が起きたか分からなかった
辺りは静けさに包まれる中、私の瞳は悍ましい恐怖感で塗り潰されたようだ
私の目の前には、私の家臣達ではなく、忍・・・・・そう、始末されたと聞いた筈のあの娘と共にいた男が立っていたからだ
私の視線は男から徐々に下へと移っていけば、その男の足下には先程まで生きていた私の家臣達の屍が・・・
恐怖で身体が震えている私を他所に宮という男の元にもう一人女の忍が現れた
女は私に気づき近付こうと歩み寄ってきた
怖い、怖い、怖い・・・
殺される・・・!
殺されると瞬時に理解した私は本能で玄関まで走り出していた
幸い玄関から襲撃されたのであろに玄関の戸は開けられたままだったため、私は裸足なのも関係無しに逃げ出した
惜しくもそんな私をあの男は逃がすはずがなかった
「うっ、」
背中に急激な痛みと共に私は転げ込んだ
鼻には泥の匂いと血の匂いが混じりあったような匂いがする
宮火はあの場所からクナイを数本飛ばして八重の行く手を強制的に止めさせたのだ
雨音の中でも足音が徐々に近付いてくる。八重は動こうにも背中と左肩の強烈な痛みから、どうしようも出来なかった
足音は止まり、布の擦れる音と同時に声が聴こえた
「まず始めに、八重さんは滝沢に騙されている」
その言葉に私は目を見開いた。そんな、馬鹿な・・・・・あの男の約束は 嘘 なの?
思わぬ証言に動転していた私に彼はさらに続けた
「・・・貴女達は何者なんだ?」
何者かって?
私達は、私は・・・、
「・・この、国・・・の、う゛ぅ・・・姫、だった・・・わ」
私の言葉を瞬時に理解した彼は「そうだったのか」と返すだけで次には私の側から離れ家の中へと入っていった
その時気付かなかった、彼の他に刺客がいたことを・・・