迷姫−戦国時代
雨により私の体温は徐々に下がっていく一方、それと同時に血が流れていく
私は、死ぬのね
私の矜持はズタズタに引き裂かれ、あまりの悔しさに下唇を血が出るまで噛み締めた
だから、
だから・・・
だから私は・・・!
「あ、め・・・が、嫌いなのよ・・・!」
私から全てを奪った雨が、きらいきらいきらいなのよ!
五年前のあの時だって、雨が降っていたわ。そして、今もよ!
何処まであなたは私から大切なものを奪うつもりなのよ
涙なんか絶対に流すものかとあの時誓った筈なのに、頬から雨と混ざった涙が私の顔を醜くする
「私も、雨が嫌いだ」
不意に顔に掛かった髪の毛が退けられ菖蒲色の綺麗な瞳と目が合わさった
先程の彼と一緒にいた彼女ね。この感じ、あの娘と似てる。彼女から感じる気に私は目を細めた
「・い・・いなぁ。ゴホッ、貴女・・も、あの娘・・・も、・・愛さ・・れて・・・。わ、たし・・は・・ゲホッ、・・嫌わ・・れ、ちゃった」
息が苦しい。もうそろそろ時間なのね
彼女は驚いた様子もせず、何も言わずに私から溢れ出る涙を優しく拭ってくれたの
その手つきが、懐かしの皆を思いだして、血塗れの唇に関わらず私は口を大きく開き深呼吸した
「私は、浬張が憎い!憎くて堪らないの!だからお願い、あの男を、楠木を倒して・・・!だから・・・」
私は渾身の力で叫んだ。彼女に訴えるよう
「私の血を、あげる」