迷姫−戦国時代
何もない殺風景な客間。いいえここは客間などではなく、ただ人を監視するだけの牢獄だろう
現に少しでも変な素振りでもしてみせたら、物陰から数人動きが見える程に監視が強い
私がこの部屋に案内されてどの位経ったのか。何か変化があったとしたらそれは私の着ている小袖くらい。城に着いて早々に滝沢は私の格好を見て女中を呼び出し、今着ている小袖に替えさせたのであった
正直美羽にとっても長旅により衣服が乱れていたりしたため、そこは滝沢の指示に感謝したのであった
不意に回りの気配が消えた。美羽は不審に思い唯一出入りが出来る障子へと視界を移した
そこには先程よりも強い気を感じた。これは並の者が出す気ではない・・・
そう、例えば
ーーーーースッ
障子が開けられ外の風が入ると同時に威圧感が部屋を充満させた
一国の当主に値する者
此処浬張での当主・・・楠木であった