狂愛ゴング

学校に行きたくない。
新庄に会いたくない。
こんな顔見られたくない。

こんなにも新庄のことを考えて泣いただなんて思われたくない。

間違ってないからこそ余計に。

なーんであんな馬鹿で鬼畜で最低な男のことで悩まないといけないのよ!

思い出せば思い出すほどに奥歯がすり減る。ぎりぎりぎりと鳴らしながら布団の中で動けずにただ暗闇に包まれる。


こんなはずじゃなかったのに。
こんなことになるとは思わなかった。

今だって自分の感情だって言うのに、なに一つ信じられないんだもの。

気のせいなんじゃないの?
だってあの男だよ? あの男のことを私がす——……。

ああああああ! 言葉にするのもいやなのに! いや! ホントいや! 口が腐る!

なんでなんでなんで!

そんなどうしようもない思いばかりが私を支配し始める。


一緒にいてなにか楽しいことがあったわけでもないし、優しくされた記憶なんか皆無。


ただ……あんなにも言葉を気にせず話せる人はいなかった。

言葉を気持ちを抑えることなく言ってしまってもいい人。怖いし怒るしいやなのに、時々、笑ったりする。私の暴言に楽しそうにする奴なんて初めてだった。

不思議と……新庄といることを苦痛だと思うことは無かった。
もちろん始めは死ねと思ってばかりだったけれど。

——いや、今も思ってるんだけど。


暫くの間、同じことをぐるぐると考えこんで過ごす。そばにあった携帯を探しだして時間を確認すると、もう始業時間になっていた。

新庄は今日も……昨日鞄をぶつけてなにも言わずに帰った私に怒ってる?

また昨日のように廊下で待ち伏せしてたのかもしれない。だったら今日も休んだ私にまた怒ってるだろうけれど……。
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