あたしの仮旦那は兄貴の親友
「あ…しまった」

真っ暗闇の寝室で
ぼそっとあたしは呟いた

小さないびきをかいて寝ていたあいつが
びくっと肩を跳ねあがらせると
「なに?」と即座に反応する

「すっかり忘れてた」

「何を?」

「パーティ」

「へ? 果恋ちゃん?
さっきお祝いしてきたでしょ
寝ぼけてるの?」

「違う、違う
そっちのパーティじゃなくて」

あたしはパジャマの上着を羽織るとベッドから出る

「じゃあ、どっちのパーティ?」

意味がよくわかってないあいつが
目を擦りながら
ベッドにある電気スタンドの明りをつけた

「麗華のパーティだよ」

「伊集院さんの?
果恋はいつも招待状を破り捨ててたのに
どうしてまた…」

「今回は特別!」

あたしはがらっとクローゼットの扉を開けた

「どうして?」

身体を起こしたあいつが
一つ大きな欠伸をしたのがわかった
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