銭コ乗せ
「ここまで俺に強気なヤツは、久し振りだよ。」

勘違いだとは思うが、そう言ったボスの顔は、俺にはどこか嬉しそうに見えた。

「まあそんなことしたヤツは…」

「ほとんど死んでいったがな。」


―ぐっ―

何度も飲み込んでいた唾が、一気に苦く感じ始めた。


足早に部屋を出た手下の一人が、トランプを片手にすぐさま戻ってきた。


「ほら、よく見な。」

ボスはトランプを受け取ると、そのまま俺に差し出してきた。


「いい。…俺はボスを信じる。」

相手を真直ぐ見つめて、俺はそれを丁重に断った。

「勝負の相手を信じるなんざ、甘いヤツだなお前は。」

ボスは首を横に振って、呆れ顔を浮かべた。
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