銭コ乗せ
まだ中味を見ていなかった俺は、ダメ元で袋を開いた。袋の中には、



十円、一枚。

それだけ。

始めは、マジで入ってねぇーのかと思ったもんだ。
あれ、これスカかな?はずれシステムあるのかな?って思ったもんだ。
ちょっとボスぅー、って、思ったもんだ。
もうホントうっかり屋さんなんだからボスぅー、って、思ったもんだ。
略してウッカボスぅー、って、思ったもんだ。

逆さにしてブンブン振ると、ようやく小銭が出て来た。

チャリチャリーン。

地面に落ちた小銭は、

もちろん一枚。

しかも、銅。
アルミじゃないのがせめてもの救いだった。

その十円は縦になり、コロコロと転がっていくと、


草むらに入っていった。
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