《短編》一夜の想い
始まりは些細なケンカだった。それから売り言葉に買い言葉でどんどんエスカレートしていった。二人とも相手を傷付ける言葉しか出なかった。そして頭に血が上った綾さんは、信ちゃんに別れを言って出て行ってしまったらしい。

7日。
信ちゃんが綾さんに連絡するまでにかかった時間。

でも遅かった。


綾さんには新しい彼氏が出来ていた。



『俺って何だったんだろ?アイツにとって俺ってそんなもんだったのかよ』

いつも強気な信ちゃんが小さく弱く見えた。


信ちゃんを抱きしめた。


「梨絵が居るから。信ちゃんのそばにずっと居るから」

今まで隠してた気持ちが一気に溢れた。


そして信ちゃんの唇に私の唇を合わせた。
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