胡蝶蘭
セッショク
*
ふと、ケータイを見ると、メールが入っていた。
偉槻から。
誓耶はもどかしくボタンを連打して、メールを開く。
瞬間、ニヤけた。
“今晩、店に来い。
奢ってやる。”
嬉しくて嬉しくて、小声で本文を読み上げた。
机に伏せながら、何度もそれを読み返す。
夕飯、一緒に食べるってことだな?
嬉しい!
こうして誘ってきたのは初めてかもしれない。
店長に会うのも久し振りだし。
楽しみだなぁ。
先週末に泊まりにいったばかりなのに、今週も会ってくれるらしい。
なんだかんだ言いながら、偉槻も誓耶に会ってくれる。
緩んだ頬が、戻らない。
行くとすぐさま返事を打ちながら、誓耶は頬をさすった。