胡蝶蘭

セッショク








ふと、ケータイを見ると、メールが入っていた。



偉槻から。



誓耶はもどかしくボタンを連打して、メールを開く。



瞬間、ニヤけた。



“今晩、店に来い。
奢ってやる。”



嬉しくて嬉しくて、小声で本文を読み上げた。



机に伏せながら、何度もそれを読み返す。



夕飯、一緒に食べるってことだな?



嬉しい!



こうして誘ってきたのは初めてかもしれない。



店長に会うのも久し振りだし。



楽しみだなぁ。



先週末に泊まりにいったばかりなのに、今週も会ってくれるらしい。



なんだかんだ言いながら、偉槻も誓耶に会ってくれる。



緩んだ頬が、戻らない。



行くとすぐさま返事を打ちながら、誓耶は頬をさすった。














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