初恋の向こう側

* * *


「よし! あともう一個っと……ねぇ梓真、これも持ってよ?」


袋詰めを終えたヒロは、パンパンになった買い物袋を俺に押しだしてさっさと歩きだした。

『付き合って』なんて何処へ行くのかと思ったら、スーパーで食材の買い出しかよ! って感じで、完全に荷物持ちのために指名を受けただけのこと。

大根にキャベツに醤油………他にも満載で重すぎなんデスけど?


「さっきのマックの奢りと引き換えでこの重労働って。
 なぁ、俺の時給低すぎじゃね?」

「何言ってんの! 夏祭りの一件を忘れたわけ?

『埋め合わせは必ずするー』とか言って、梓真だってマックで済ませたじゃない!!」

「あの時は、行った店が閉まってたからだろ?」

「……でも梓真? 今度改めて ”埋め合わせ” してもらうからね!」


キッと俺に睨みを効かせて、ヒロは早足で前を行く。


「ちょっ 待てよっ!

ったくー。自分は何にも持ってないくせに」


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