初恋の向こう側


今日は12月24日。

ようやく明日から冬休みに入る。


いつものようにテカテカの唇を突きだしながらナミが言った。


「佐伯ぃー! この前、あの女と一緒に帰ったでしょ? あの後って何処に行ったのぉ?」


あの女っていうのは、ヒロのことだ。


「忘れた」

「えーっ!
でもあの女って、成沢さんと付きあってるんでしょ?」

「知らねー」


そこに現れたのはオサム君。


「ナミ、生活指導の山田が至急職員室来いって」

「えーっ? うっそー!!」

「ウソだと思うんなら行かなくてもいいけど。でも、後でどうなっても俺は知らないよーん!」


すごすごと席から立ち上がるナミと入れ替えに、腰をおろしたオサ。


「なーに絡まれてんだよ?
梓真、ナミに狙われてんだから気ぃつけれよ?」

「はいよ」


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