初恋の向こう側


チャイムを押さずにドアレバーを回してみると、やっぱり鍵はかかっていなかった。
 
玄関から声を掛ける。


「ヒローッ!」


そしたら少しして「入っていいよ!」って返ってきて、リビングまで行くと、ヒロはやっぱり台所にいた。


「俺もメシまだなんだけどな~?」


手元を覗き込みながら声をかけると睨まれた。


「キミの家は隣でしょ?」

「そうだけどさー」

「……」

「腹減ったなぁ~」

「……もうっ、こんな時間だから有り合わせしかないよ?」


って顔は怒ってても、なんだかんだ言って優しいんだよな。

たまにだけど。極々たまーにね。


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